尖形コンジローム・ヒトパピローマウィルス

(提供元:国立感染症研究)

外陰部に小さな尖とがったイボができる病気です。イボができないこともあり、痛みやかゆみなどの自覚症状もほとんどないので、感染に気付かないことがあります。

病原体 HPV(ヒトパピローマウイルス)
潜伏期 数週間〜3か月
検査 特徴的なイボを確認することによって診断する。
治療 外科的治療や薬物塗布を行う。外科的治療法としては、切除、電気焼しょう灼しゃく、液体窒素による凍結療法、CO2レーザー蒸散などがある。
感染経路 ウイルスはイボの中に多く、セックスの時に皮膚や粘膜の微小な傷から進入する。
免疫 免疫はできず何度でも感染する。再発がしばしばある。

尖形コンジロームとは

尖形コンジロームは、ヒトパピローマウイルス6、11型等よって引き起こされるウイルス性性感染症で、生殖器とその周辺に発症します。

潜伏期間は平均3ヶ月とされ、3週間から8ヶ月まで幅があり、一般に1 – 2ヶ月の潜伏期間を経て、陰部に先の尖ったイボを形成します。

症状は、女性の場合は外陰部や肛門の周辺に小さな硬い腫瘤として生じる小さなイボができ、男性の場合は亀頭や肛門の周辺に同様のイボができ、小さないイボ状の腫瘤は成長してカリフラワー状になることもあります。

自覚症状はなく、痛みも痒みもありませんが、最初のイボを形成してから短期間で次々と新しいイボを形成し増殖していきます。

また治療しても他の部位への接触転移が多く再発を繰り返すことが多いのが特徴です。

感染経路

感染経路は、性行為による感染が主ですが、公衆浴場などからも感染することもあります。

患者の大部分は性活動の活発な年代に多いとされますが、稀に両親や医療従事者の手指を介して幼児に感染し、発症することがあるよぷです。

また、分娩時の垂直感染により、乳児が喉頭乳頭腫を発症する可能性も否定出来ません。

日本では年間10 万人あたり30 人程度の発症がみられているが、他の性感染症と同様増加傾向を示し、徐々に女性の占める割合が高くなってきているのが特徴です。

感染しても無症状のまま、約1年ほどで自己の免疫力によって自然治癒する場合もあります。

必ずしもイボとして出現しない場合もあり、それがまた感染を容易に拡散させる原因でもあります。

潜伏期間は1ヶ月から8ヶ月の長期に渡ることがあり、感染源を特定できないこともしばしばあります。

検査方法は、肉眼での確認やイボを切除して顕微鏡で確認する方法があり、ウィルスに感染した細胞からウィルスの型を確認し診断します。

パピローマウイルス

パピローマウイルスは、型によって感染部位と病理像が異なり、皮膚に感染する型では、1、2、4 型などが良性のイボ5、8、47 型などが皮膚癌の原因となり、粘膜に感染する型には、尖形コンジロームを引き起こす6 、11 型(低リスク型)子宮頚癌の原因となる16 、18 、31 型など(高リスク型)があります。

ウイルスは表皮基底層細胞に感染し、感染細胞では、ウイルスの非構造蛋白質である蛋白質が細胞の蛋白質の機能を阻害し、細胞のDNA 合成系を活性化してウイルスDNAの複製に利用し、合成を行う細胞は分裂・増殖し、感染細胞の異常な増殖が起こり、イボ等の病変が形成されると考えられています。

症状

一般に自覚症状に乏しいとされますが、外陰部腫瘤の触知、違和感、帯下の増量、掻痒感、疼痛が初発症状となることが多いようです。

先が尖ったイボ、隆起性病変が特徴で、淡紅色~褐色の乳頭状、鶏冠状、あるいはカリフラワー状と表現されます。

部位は、男性では陰茎の亀頭部、冠状溝、包皮内外板、陰嚢で、女性では膣、膣前庭、大小陰唇、子宮口、また男女とも、肛門及び周辺部、尿道口に発症する事もあります。

子宮頸部、膣に発症した場合は、外陰の病変同様のイボができることもありますが、扁平なイボとして病変を形成することが多いとされます。

検査

典型的な尖形コンジロームは乳頭状、鶏冠状の特徴的な形態を持つため、視診で十分診断がつくとされます。

形態的に類似した悪性病変もあるため、確定診断は組織学的に行う場合も有ります。

治療法と予防法

外科的治療には、切除、CO2 レーザー蒸散法、電気メスによる焼灼法や液体窒素による凍結法があります。

CO2 レーザー蒸散法は、治療による周辺組織の損傷が少ないこと、高い治療効果が速やかに得られるます。

薬物療法としては5-フルオロウラシル軟膏、ブレオマイシン軟膏などを塗布する方法があります。

治療方法はレーザーでイボを切除するなど凍結療法、外科的切除、蒸散治療が主体でしたが、持田製薬から尖圭コンジローマ治療薬としてベセルナクリームが発売されました。

日本初の尖圭コンジローマ治療薬ベセルナクリーム5%は、免疫を活性化して治療する薬であり、サイトカインの産生促進によるウイルス増殖抑制作用と細胞性免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞障害作用を示し、患者の持つウイルス感染防御機構を利用して、病変を消失させると考えられています。

治療終了後も最低3 カ月は厳重な経過観察をして、再発の早期発見に努めることが必要です。

本人が治癒しても、パートナーがHPV を保持しているかぎり再感染の可能性があるので、パートナーも必ず専門医を受診し、症状があれば治療をしましょう。

また、垂直感染を予防するために、妊婦で発症した場合には分娩までに治療を終了することを心がけましょう。

ヒトパピローマウイルスは皮膚や粘膜の微小な傷から侵入、感染するので、感染予防にはコンドームの使用が効果的です。

長い潜伏期間を経て悪性に変化して子宮頸癌の原因ともなるので早期の発見と治療が大切であるとされます。