レントゲンで癌を見る医者

現在、日本人の死因のトップはがん。日本人の2人に1人はがんに罹り、3人1人はがんが原因で亡くなると言われるほど罹患者の多い国民病です。

では、がんとは一体どんな病気なのでしょうか?
 がんとは、ごく簡単に言えば、正常でない細胞=がん細胞が増殖していく病です。
人間の身体は約60兆個の細胞が寄り集まってできており、この細胞は古くなると新しい細胞へ入れ替わりますが、この入れ替えの際に不具合が起こることがあります。
細胞を入れ替える際には、古い細胞と同様の細胞を作り出すのですが、この段階で細胞内の遺伝子などが傷つくと異常細胞が発生してしまいます。この異常細胞が「がんのもと」となります。

しかし、異常細胞が発生しただけではがんになるわけではありません。
この異常細胞は、健康な状態であれば体内のリンパ球によって排除され、それ以上増殖することはありません。しかし、リンパ球が異常細胞を取り除けないとなると話は別。異常な細胞が体内に残ってしまうと、それががん化してしまうのです。
つまり、がんの発生は、異常細胞の発生速度がリンパ球の排除能力を上回った場合に起こるというわけです。

リンパ球が排除できずに体内に残ったがん細胞は増殖を始めます。正常な細胞は増殖数をコントロールできますが、がん細胞にはリミッターがないいため、異常な細胞が急速に増殖し、とめどなく大きくなっていきます。そして、大きくなったがん(腫瘍)によって、周囲の正常な組織が圧迫され、破壊されて、周囲の臓器や組織が機能不全に陥ってしまうのです。

 がんは人体の全ての細胞および組織に発症するとされており、その発症した臓器や部位によって胃がん・肺がん・子宮がんのように呼び分けられます。
 また、造血器にできるがんはがんという呼び方ではなく、白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫などと呼ばれます。
 
がんは時に肉腫と混同されますが、厳密に言えばがんと肉腫は別物です。がんは粘膜細胞や腺細胞などの上皮組織にできるもの、肉腫は骨や軟骨、血管、筋肉など、上皮組織以外で異常細胞が増殖するものを指します。

がんって何?

人体の一部の細胞が突然変異をおこし、無秩序に増殖を始め、カタマリになるものを腫瘍と言いますがこのうち周囲の臓器を圧迫して害を及ぼしたり、正常組織や隣接する臓器を浸潤したりする悪性の腫瘍をガンと言います。

・初期症状がはっきりしない

感染症などの病気では、発熱、痛みなどの症状が現れ診断のきっかけになります。

ところが、がんの場合早期ではもちろん、かなり進んでもはっきりした症状が現れない事が多いのが特徴です。

症状が現れた時はすでに手遅れ、という状態になっていることも多く、癌の定期健診が重要なのはこのためです。

・ガン細胞は増殖し続ける

正常な細胞は古くなったものは死んで剥がれ落ち、かわりに新しい細胞ができるという新陳代謝が常に行われています。

一方、癌細胞は異常をきたした細胞で、栄養がある限り増殖し続けます。

人体はおよそ10兆個の細胞から出来ており、それぞれが役割を果たしながら秩序を保ち、死亡と再生を繰り返しています。

ところが、様々な発ガン物質が引き金となり、正常な細胞が突然がん細胞に変わります。

正常な細胞の中には癌遺伝子やガン抑制遺伝子と呼ばれる遺伝子が潜んでいて、これが発ガン物質により傷つくと細胞がガン化するということがわかってきています。

実際は、正常細胞は、ガン遺伝子やガン抑制遺伝子が傷ついてから、複雑な過程を経て、何年もかけて癌細胞になり増殖していきます。

・ガン細胞は周囲の組織を弱らせる

癌細胞は正常な細胞よりも生命力が旺盛で、大量の栄養と酸素を消費します。

その為、血液が運んできた栄養や酸素を横取りして周囲の正常細胞を弱らせ破壊させてしまうのです。

例えば、胃がんは最初は粘膜にとどまっていますが、成長につれて正常粘膜を弱らせ粘膜の下の組織を侵し、更に筋肉の層まで入り込んで正常細胞を破壊しながら病巣を拡大していくのです。

・ガンは転移する

がんは周囲の組織を圧迫して弱らせるだけではなく、血液やリンパ液の流れに乗って、様々な臓器に飛び火してそこでまた増殖を始め、放置すれば生命を脅かします。

血管やリンパ管は全身いたるところに張り巡らされています。

癌がある程度発育すると、癌細胞の一部がはがれ、血管を介して全身に運ばれそこでまた増殖を始めます。

またある時はガン細胞が胃壁や肺の胸膜を突き抜けて、腹腔や胸腔、臓器の隙間などに種をばらまくように飛び散りガン性腹膜炎やガン性胸膜炎を起こします。

ガン細胞が出す代謝物の中には様々なガン毒素が含まれ、臓器や神経を痛めることもあり、この状態をガン悪液質といい、ガンの末期症状の一つとされています。

・様々なガンの環境要因

ガンの羅漢率、死亡率は年々増え種類も大きく変化しています。

その原因には、生活環境、労働環境、医療環境、などの変化が考えられ人口の高齢化にも関係があるとされています。

ガンの直接的原因としては、食品とタバコが最も重要で、塩分、高脂質、アルコールにも問題があるとされています。

肝癌ではB型肝炎とC型肝炎のウィルスが重要であるとされています。

また、ガンにかかりやすい体質の遺伝も注目されていますが大腸がんは他のがんよりもその傾向が強いようです。

その他、大気汚染、食品添加物、放射線、農薬、紫外線、ガンウィルスなど様々な要因があります。

悪いと思われる原因はなるべく避け、反対に生野菜、果物、食物繊維に富む食品乳製品など発ガン物質の生成を抑制すると言われる食品を多く摂取して

バランスのとれた規則正しい食生活を送ることが大切です。

また、定期的にがん検診を受け、早期にガンを発見することが最も大切な対処法です。

がんの治療

がんの治療には複数の方法がありますが、現在日本で一般的とされているのが「外科療法」「放射線治療」「化学療法」の3つ。
 
 外科療法はいわゆる手術のことで、がん病巣部を切除することでがんの増殖を止めます。転移のない初期がんであれば、完治することが望める手法ですが、臓器や組織を切り取るので、病巣の部位やその範囲によっては、臓器・組織の機能低下や欠損を招くことがあります。

 放射線治療は、がんに放射線を照射し、がん細胞を死滅もしくは脆弱化させるものです。現在はがん病巣部に局所的に放射線を照射できるため、周辺細胞・組織への影響も最小限となっています。
ただし、照射部の皮膚や粘膜には炎症が起こることがあり、またその効果の出方もがんの種類や進行度、個人の体質などに左右されます。

化学療法はいわゆる「抗がん剤」でがん細胞を叩いて死滅させることを目的とした治療です。点滴や内服薬で投与され、血液によって薬剤が全身に行きわたります。目に見えない転移性の初期がんの治療にも効果があります。
ただし、非常に強い薬剤のため、吐き気や脱毛など激しい副作用が出ることがあります。

放射線治療と化学療法は、外科手術前にがんを小さくしたり、術後の転移・再発を防ぐ目的で、外科療法と併用されることも多く、どの治療法を選ぶかは医師と患者、もしくは患者の家族が選択します。

また、近年は「免疫療法」と呼ばれる治療法も増えつつあります。
これは患者自身の免疫細胞を利用した治療法で、副作用がほとんどない画期的な治療法です。
免疫療法では、患者自身の血液からがん細胞を攻撃する免疫細胞を取りだし増殖して、特殊な薬品で活性化させます。この活性化した免疫細胞を患者に点滴などで投与して、がんを叩くというのが免疫療法です。ただ、効果が不安定で、実施できる医療機関も限定的です。

さらに、末期がんなどで手の施し仕様がない場合には「緩和ケア」を中心に行います。緩和ケアは、がんによって起こる痛みや症状を和らげるもので、がん自体にアプローチするものではありません。
がんの治療は体力を要するものが多いため、体力に不安がある高齢者などは敢えて積極的な治療はせず、がんと共存する方法を探ることもあります。