梅毒 感染症 最新動向

梅毒年別報告数の推移 2001~2014年

年度2001年2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年
総報告数58557550953654363771883169162162887512281275
無症候301293209160172195224300249238335248466497
早期顕症1期10499114136151175198173142105141160217239
早期顕症2期134121127179180205234283251236292315475460
晩期顕症4053545437505566444154486671
先天梅毒695731279516448

参照元:国立感染症研究所https://www.niid.go.jp/niid/ja/

2001年から2014年概況

梅毒もまた、男女比で比べると男性が圧倒的に多いのが特徴です。

年間報告数は2003年まで減少していましたが、2004年に増加に転じ、特に2006年、2007年はそれぞれ前年から約100例増加しています。

これを病期別にみると、早期顕症はI期、II期ともに2003年以降、無症候は2005年以降増加傾向がみられます。

baidoku

2004~2007年に報告された2,452例を病期・性・年齢群別にみると、早期顕症は、男性では10代後半からみられ、30代前半をピークとして20~40代前半に多く、女性では1例ではあるが10代前半からみられ、20代前半をピークとして10代後半~30代に多かったようです。

また、I期とII期の比率をみると、男性では1:1.1 であるのに対し、女性は1:1.9 と、II期での診断がより多かった。これは初期硬結などのI期症状は女性では自覚されにくく、ばら疹などII期症状の出現により受診することの影響が考えられます。

無症候は、男女ともに10代後半~90代前半で報告されたが、無症候の割合は、男性26%に対し、女性では46%と大きく、特に20代~30代前半に多いのが特徴です。

無症候の診断は、他の性感染症診断時、献血、手術前、施設入所前などの検査によると考えられます。

女性で無症候が多いのは、さらに妊婦健診、風俗店従業員の検診など検査の機会が多いことの影響が考えられます。

2004~2007年の報告例の感染経路は、

男性では性的接触(複数の経路が記載されたものを除く)が1,415例(うち75%が異性間)、

女性では性的接触が578例(うち86%が異性間)であった。性的接触以外では不明が多く、

その他には母子感染31例(うち2例は異性間性的接触もあり)、

輸血8例、静注薬物常用4例(うち3例は異性間性的接触もあり)、

針等の刺入4例(うち1例は性的接触もあり)、刺青3例(うち2例は性的接触もあり)、患者介護1例(性的接触もあり)などが報告されました。

梅毒年別報告数の推移 2015年

男性異性間接触男性同性間接触男性総数女性感染総数
61548714635742037
1.7倍1.0倍1.4倍前年比2.1倍前年比1.5倍

15年10月28日時点で、2015年第1週から第43週(2014年12月29日〜2015年10月25日)までに診断され、感染症法に基づく医師の届出による梅毒として報告された症例数は2,037例で、昨年同時期の1.5倍であった。性別は男性1,463例、女性574例でそれぞれ昨年同時期の1.4倍、2.0倍となり、女性の増加が顕著であった。 感染経路別では、男性は異性間性的接触が615例(昨年同時期比1.7倍)、同性間性的接触が487例(同1.0倍)の報告であった。また、女性の異性間性的接触は405例(同2.1倍)であった。 病型は早期顕症梅毒が、男性で990例(昨年同時期比1.6倍)、女性で323例(同2.4倍)とそれぞれ増加した。女性の年齢分布として15〜35歳の全体に占める割合が約4分の3を超えた(437例:76%)。特に20〜24歳が177例(同2.7倍)と全体に占める割合の最も高い年齢群であった。さらに、先天梅毒が既に10例(昨年同時期9例)報告されており、本疾患の発生動向を注視する必要がある。 以上を踏まえ、男性同性間性的接触による感染報告の増加傾向は2010〜2013年にみられたが 1-4)、本年は、男女の異性間性的接触による報告数増加の傾向が続いていると考えられた 5)。 引き続き今後の梅毒の発生動向に注意しながら、特にリスクが高い集団に対する啓発活動が重要である。具体的には、不特定多数の人との性的接触はリスク因子であり、その際にコンドームを適切に使用しないことがリスクを高めること、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、梅毒は終生免疫を得られず再感染することなどが啓発のポイントとして挙げられる 6, 7)。 感染が疑われる症状がみられた場合には、早期に医師の診断・治療を受けることが重要である。梅毒と診断した場合には、感染症法に基づく届出を行う必要がある。また、必要に応じた性行為パートナーに対する啓発、検査等を行うことが重要である。

梅毒年別報告数の推移 2016年

男性異性間接触男性同性間接触男性総数女性感染総数
84058519347642698/
2.6倍1.5倍1.9倍前年比2.2倍前年比2.0倍

15年第1〜53週まで(2014年12月29日〜2016年1月3日)に診断され、感染症法に基づく医師の届出による梅毒として報告された症例数は2,698例(2016年3月30日時点、暫定値)であった。報告都道府県別では、東京都1,057例、大阪府324例、神奈川県165例、愛知県122例、埼玉県103例が多く報告された。性別は男性1,934例、女性764例であった。感染経路別では、男性は異性間性的接触が840例、同性間性的接触が585例の報告であった。また、女性の異性間性的接触は555例であった。病型は、感染早期の患者動向を反映し、最も感染力の高い早期顕症梅毒が、男性1,336例、女性422例であった。 5歳毎の年齢分布として、男性は20〜54歳の各年齢群より報告されており(計1,640例:男性報告全体の85%)、最も割合の高い年齢群は40〜44歳(313例:男性報告全体の16%)であった。女性は15〜34歳の年齢群が女性報告全体に占める割合が7割(計538例)であり、20〜24歳(240例:女性報告全体の31%)が最も割合の高い年齢群であった。先天梅毒は13例が報告された。 2016年第1〜12週まで(2016年1月4日〜3月27日)に診断され、梅毒として報告された症例数(2016年3月30日時点、暫定値)は796例で、昨年同時期(397例)の2.0倍であった。性別は男性563例、女性233例で、昨年同時期(男性289例、女性108例)のそれぞれ1.9倍、2.2倍であった。 報告都道府県別では、東京都350例(前年同時期147例、2.4倍)、大阪府100例(同43例、2.3倍)、神奈川県44例(同29例、1.5倍)、愛知県37例(同14例、2.6倍)、埼玉県29例(同13例、2.2倍)が多く報告された。 感染経路別では、男性は異性間性的接触が275例(昨年同時期105例、2.6倍)、同性間性的接触が158例(同104例、1.5倍)の報告であった。また、女性の異性間性的接触は177例(同73例、2.4倍)であった。 早期顕症梅毒が、男性で411例(同166例、2.5倍)、女性で131例(同55例、2.4倍)とそれぞれ増加した。 5歳毎の年齢分布として、男性は20〜54歳の各年齢群より報告されており(計477例:男性報告全体の85%)、最も割合の高い年齢群は40〜44歳(96例:男性報告全体の17%)であった。女性は15〜34歳の年齢群が女性報告全体に占める割合が約7割(計166例)であり、20〜24歳(75例:女性報告全体の32%)が最も割合の高い年齢群であった。先天梅毒は4例(昨年同時期3例)が報告された。 2010年以降梅毒の報告数は増加傾向に転じており1)、本年3月までの報告は、昨年と同様な傾向で増加が継続している。全国的に増加がみられており、東京都と大阪府、そしてその周辺の地域からの報告が特に多い。昨年に引き続き、男女の異性間性的接触による報告数増加の傾向が続いており2)、母子伝播による先天梅毒の増加も懸念される。また、同性間性的接触による報告数も増加している。 今後の梅毒の発生動向に引き続き注意しながら、特にリスクが高い集団に対する啓発活動が重要である3)。具体的には、不特定多数の人との性的接触はリスク因子であり、その際にコンドームを適切に使用しないことがリスクを高めること、オーラルセックスやアナルセックスでも感染すること、梅毒は終生免疫を得られず再感染することなどが啓発のポイントとして挙げられる3, 4)。感染が疑われる症状がみられた場合には、早期に医師の診断・治療を受けることが重要である。梅毒と診断した場合には、感染症法に基づく届出を行う必要がある。

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